7.16抗議声明


 内閣総理大臣 安倍晋三様

衆議院議長  大島理森様

衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会委員長 浜田靖一様


安保関連法案に反対し、衆議院本会議における強行採決に抗議する

西南学院大学教員有志の声明


 本日、政府与党は、衆議院本会議において、「平和安全法制整備法案」および新法の「国際平和支援法案」(以下、安保関連法案と記す)を強行採決しました。私たち西南学院大学の教員有志は、明らかに憲法に違反しており「戦争ができる国」へと道を開く安保関連法案に反対します。私たちはこの強行採決に強く抗議し、法案を直ちに廃案とすることを求めます。

 かつて戦前、戦中に西南学院は、「西南よ、キリストに忠実なれ」という建学の精神を貫くことができませんでした。戦争に突き進む政府の政策を批判することができず、教え子たちを「皇風宣揚に勇戦奮闘せられよ」(『西南学院新聞』、第62号、1943年11月25日)と言って戦場に送り出し、多くの若い命を失わせてしまいました。また、それによって近隣アジアの人々に筆舌に尽くし難い惨禍を与えてしまいました。出陣学徒の死、戦争犠牲者の死は、本来あってはならない死であり、二度と起こしてはなりません。憲法の前文に刻まれた平和主義と第9条の戦争放棄は、このような反省と決意に基づくものです。

 安保関連法案は、大多数の憲法学者によって違憲性が指摘されている集団的自衛権の行使を容認し、時の政権の判断によって際限なく自衛隊の武力行使を可能とするものです。今回のように審議を尽くすことなく、時の政権が解釈のみで憲法を空洞化してしまうことは、立憲主義への明確な挑戦であり、法治主義と民主的な合意形成を尊重してきた戦後日本のあり方を根底から破壊するものです。

 私たちは、各人の研究の専門領域における学知と個人の良識にもとづき、歴史や社会から付託された使命を全うすべく、民意と乖離し、戦後日本の基本理念に背馳する安倍政権の政治手法を強く非難し、断固として抗議します。

「剣を取る者は皆、剣で滅びる。」(聖書)


2015年7月16日

 

                        西南学院大学教員有志


赤尾美秀、安部計彦、天野 有、有田謙司、李 善英、磯  望、一谷智子、

伊藤彰浩、伊藤慎二、今井尚生、鵜飼健史、渦原実男、宇田川元一、江崎義彦、

小熊和郎、尾上修悟、片山 寛、賀戸一郎、門田理世、金丸英子、金子幸男、

釜谷真史、川上具美、河原真也、北垣 徹、清宮 徹、久屋孝夫、栗原詩子、

齋藤 靖、齊藤芳浩、酒井三千穂、相模裕一、佐々木武夫、佐藤正弘、塩野和夫、

塩野正明、市東 亘、ロランス・シュヴァリエ、新谷秀明、進藤啓子、須藤伊知郎、

田代裕一、舘 暁夫 、田村元彦、中馬正博、中馬充子、鄭 義哲、津田謙治、

シンディー・L・ドーハティ、富田麻理、中里 操、中島和男、西野祥子、西村将洋、

野口幸弘、萩沢 友一、濱野道雄、日原広志、平井佐和子、平木真朗、深谷 潤、

古田雅憲、リチャード・ホドソン、前田 敦、真下弘子、松永裕二、松原知生、

松見 俊、ミヒャエラ・マンケ、三宅敦子、宮平 望、宮本敬子、毛利康俊、

山崎喜代子、山田 順、山村英司、尹 芝惠、吉岡直子、吉武春光、和田光昌

 (五十音順)